オルガニスト楽屋話

第14話 クリスマスプレゼント ---1997.11.24.

街にはクリスマスグッズが並び始めました。今年もこの季節がやって来た・・ 我々オルガニストにとって、一年中で最も忙しい季節の到来です。 とにかく24日までは体のコンディションを崩さないように、寒い冬、 雪の中の移動もあります、全てのスケジュールが無事終わりますように、 緊張の連続の始まりです。 今年はスケジュールが重なり、やむなくお断りしました公演がいくつもあります。私 の体が3つぐらいあれば、と思ってしまうのがこの季節です。

24日夜、クリスマスイヴの教会でのキャンドルサービス(詳しくはこちらをご覧くださいまで一連の スケジュールが続くのですが、その緊張から解放された25日は、 骨の芯まで疲労し、私のクリスマスは無かった!と寂しい思いで、毎年 過ごしてきてしまいました。 私だって、ちょっとお洒落をしてクリスマスコンサートへ、そして美味しい レストランへ・・こんなことしてみたい!!

今はもうすでに、来年のクリスマスコンサートが決まってきている状況 です。毎年、これではたまらない!

そんな私は数年前から、我が家でこんなことを始めました。 私の背丈ほどある大きなツリーをリビングルームに置き、一杯のデコレーション で飾っています。その半分は、ドイツで留学時代に買ったクリスマスの小物達、 そして残りの半分は、私の生まれて始めてのクリスマスに、祖母から 送られたというもので、色あせたモールのサンタ、古びた銀紙の星や長靴 などですが、優しい愛情が伝わってくるものです。 古い箱にはイタリア製と書かれ、当時はまだ珍しいものだったようです。

それからドイツ語では<Krippe>というのですが、アドベント (待降節−−クリスマスの4週間前の日曜日から始まり、 キリストの誕生をお祝いする心の準備をします) の季節になると、ヨーロッパの教会では必ず飾られるキリスト生誕像、 この小さなサイズのものを、飾っています。ドイツ、フランス、スイス、チェコ、ポ ーランド・・ヨーロッパで旅した時に見つけては、各国で集めてきたものです。

これらのクリスマスの飾りは、我が家に戻る私をいつも待ち受け、疲れを 癒してくれています。 こんなあわただしいアドヴェントを過ごしていますが、美しいクリスマスの 音楽を演奏できます機会と、そして私の演奏に耳を傾けて下さる暖かい聴衆の 皆様は、実は私にとって最高のクリスマスの贈り物なのかもしれません。

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