オルガニスト楽屋話

第162話  観て、聴いて、楽しめるパイプオルガンの調べ@サントリーホール ---2013.5.15.

昨日はサントリーホールで、大友直人さん指揮、東京交響楽団との演奏会。 バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」はじめオルガン独奏を約15分、そして私のトークでオルガンのお話を10分、 オーケストラと一緒に2曲演奏させていただきました。クラブツーリズム主催の公演、当日券のほか、日帰りバスツアーで 東京近郊からランチ付き演奏会、会場はオルガンを背にした席、 オルガンの演奏台の真横まで・・ほぼ満席になりました。

昨年の冬、山梨のワイナリーでのイタリアン・ランチ付きバスツアーを企画していたところに、 クラブツーリズムの演奏会のお話が入り、開催日も2週間違いの5月の火曜日、何というシンクロ〜と驚いたものでした。

オルガンが設置されたホールは日本に45位でしょうか、それぞれのホールに違いがありますが、私はホール、楽屋にそれぞれ 独特の匂いを感じます。 久しぶりのサントリーの匂い〜〜と思いながら、会場へ。
サントリーホールは、スタッフはじめ全ての動きがプロフェッショナル。楽屋入口だけでなく、 楽屋が並ぶ廊下にも警備の方が常に立っているのには驚きました。また演奏会中、ホールの廊下など 不審物など置かれていないか歩いてチェックしている警備の方もいました。(今回、演目の関係上、出入りが多かったので、 こうした楽屋の裏事情まで知る私・・)。

オルガンのリハーサル時にはステージ上の移動式演奏台も準備され、サウンド&バランスのチェックが出来ます。 実際の演奏台よりもより客席(お客様の耳)に近い所で聴きながらレジストレーション(音色を決める作業)が出来ます。そこで セッティングしたコンビネーションは、上の演奏台に連結していてそのまま有効、 オルガニストにとってはありがたく、贅沢な設備を兼ね備えています。

「トッカータとフーガ」・・数えたことはないですが、おそらく50回近く演奏しているでしょう、、 弾く楽器、弾く会場によって演奏は変わります。またサントリーホールでも何度も弾いていますが、今日は今日の演奏です。 これも年のせいでしょうか〜、昨日は心優しく楽器を歌わせ、一音一音大切に演奏出来、会場にいらしたお客様にもメッセージが伝えられたかな、と。
10分のトーク、コンサートは分刻みのタイムスケジュールで進行しています、私のトークで 進行を乱してはいけないと、ストップウォッチを横に置き、お話しました。 サントリーホールで10分のトークは初めての経験。ここだけの話、演奏と同じように練習しました♪

大友さん指揮では、1990年サントリーホールと大阪シンフォニーホールでサン=サーンスを 演奏させていただいて以来、東京芸術劇場、白石キューブなど各地で数多く演奏、また雑誌の取材で 写真撮影(レストランでお食事、公園を散歩しながらの撮影でした・・)など一緒にさせていただきましたが、久しぶりの嬉しい共演でした。 音楽性豊かで、適確な指揮、スマートで気品溢れる大友さん、今日は「観て、聴いて、楽しめるパイプオルガンの調べ」 というタイトルを意識され、マスカーニ、エルガーともに(いつもより)大きな音量でと・・オルガンの聴きどころも説明してくださり、オルガンを盛り上げてくださいました。演奏しながら素敵な音楽に酔いしれた私です。

オルガンは一台一台、オーダーメイド。規模も様式も置かれている場所によって響きも違いますが、 ソロで、またオーケストラと一緒に演奏し、音楽の喜びを会場のお客様と共に共有出来た素敵な 五月晴れの一日になりました。会場にお出かけくださいました皆様、ありがとうございました。






Index