オルガニスト楽屋話

第164話  フォーレのレクイエム@オペラシティ ---2013.6.10.

東京オペラシティ・コンサートホールで、フォーレの『レクイエム』。フォーレはパリ、マドレーヌ教会のオルガニストでしたが、 オルガン作品は残していません。しかし『レクイエム』は心洗われ、涙するような美しい作品です。 時にはコーラスを、また時にはオーケストラを支え、 「ピエ・イエズ」ではソプラノソロとオルガン、「イン・パラディスム(天国で)」ではハープと絡み合うなど、 オルガンは効果的に用いられており、オルガンに精通しているフォーレだから書けたと思わされる名作です。

独奏は弾きたいと思えば叶えられますが、オーケストラや合唱と一緒に演奏する機会は、自らつくれる ものではありません。オーケストラ、コーラスと心を合わせ一体となって歌い音楽をつくる、美しいレクイエムを演奏出来る機会は、至福の時です。 今回は指揮者の沼尻竜典さんからのご指名・・何とも嬉しく光栄な機会でした。

オペラシティ・コンサートホールは天井が高く、良く鳴り、響きの良いホール、そしてクーン・オルガンは、スウェル効果も大きく、 とりわけffからpppまで、大きなダイナミックレンジを要求されるフォーレのレクイエムには、大変演奏し易く、効果を出すことが 出来ました。沼尻さんも「音量変化が自由に出来る楽器なんですね〜」と。

この曲は、フォーレ自身の葬儀でも演奏されたそうですが、死への恐怖感から解き放たれ、 “永遠の安らぎ”、“永遠の至福と喜びに満ちた開放感(フォーレ自身の言葉・・)”を得られる作品です。

このまま天上の国へいっても・・こんな気持ちになるような曲。ところが、、心臓が止まりそうになるような出来事が!

演奏は3曲目、演奏会の後半、休憩後でした。オルガンを使わない前半はオルガンの電気を落とし、(指揮者を見る)モニターも電源オフに。さて、オーケストラメンバーがステージへ、私も オルガンのところへ。そしてモニターをオンに。・・出てきた画面は横にシャーっと線が入った何も見えない画面〜〜!!

ステージ上ではすでにオーケストラのメンバー全員着席し、コンサートマスターがAの音を私に要求している。A〜〜チューニング開始〜。 それどころでない!!!指揮者が見えなくては演奏出来ない〜!!命綱が切られた感じ〜〜。
何か異常が起きたことを察したのか、ステマネさんが顔を覗かせた。「すみませ〜ん、モニターが〜〜〜映ってないんです〜〜」。座ったら演奏が始まってしまうだろうと オルガンの前に立ち尽くす私。そこへ、舞台のスタッフが飛んできて、モニター設定。指揮者とソリストが舞台へ。。やれやれ、本当に心臓が止まってしまいそうな出来事でした。

終演後、「びっくりしたでしょ〜」とステマネさん。数週間前に弾いたサントリーホールでは、難なく 「オン」「オフ」が出来たのです。でも全てのモニターが同じ操作とは限りませんよね、肝に銘じました。 あらかじめ確認すること!と。



さて、夏の到来を思わさせるこの頃、冷製スープに凝っています。山梨キングスウェルのレストランでいただいた 新玉葱の冷製スープの味が忘れられなくて、まずは作ってみました。そして一昨日は、そら豆の冷製スープに挑戦。 ヘルシーにと生クリーム、バター、ブイヨンは使わず、少な目の塩コショーのみ。素材の味が引き出され、 まずまずのお味に。実家から持ってきた古いミキサーが大活躍。

食べて、泳いで、音楽して、新聞の取材に、文化会議に、3日後にはまたコンサート、トークも考えないと、教会の礼拝も、、マンション理事会まで、、、わあ大変、 頭も体もマルチに動いております。








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