オルガニスト楽屋話
第169話 モスクワでのコンクール ---2013.9.14.
スイスから帰国し、スーツケースの荷物を入れ替え、翌々日の8月31日、再び成田空港へ。今回はタリヴェアディエフ・
国際オルガンコンクールのモスクワ予選のために6日間、その後、ヨーロッパ内にある
ロシアの飛び地カリニングラードでの本選ために8日間という2週間の旅へ。コンクールの審査員は初めての経験であり、
身に余るような大きなお仕事に緊張した出発でした。
初めて乗るアエロフロート、
サービスは良いとは言えませんが、新しい飛行機で機内は思ったよりも快適。出発は1時間遅れ、モスクワ着も1時間遅れ。さらに入国審査に長〜い列、厳しい
顔をした監視員に囲まれながら待つこと1時間半。
これまでずっと連絡を取り合ってきた国際文化センターのマリアさんが迎えに来てくださっていた。
マリアさんとドライバーさんを2時間半も待たせてしまったことに恐縮すると、
「フィンランドから今朝到着予定の審査員は飛行機が欠航で、今日は到着出来ず明日に変更になったけど、あなたは無事来られて良かったわ。
私は朝から空港にいたから全く大丈夫よ!」と。夜9時、小雨のモスクワ、市内までの高速道路は大渋滞、ホテルに着いたのは夜の10時。
真っ暗で周りの様子もわからないままホテルへ。5つ星のホテルは広いお部屋は快適で休めそう、これからの大切な仕事に備え、とにかく眠らないととベットに
入る。
コンクールの参加者、審査員の写真が掲載された立派なブックレット(写真右上)も完成していて、キリル文字で書かれた
審査員バッジを渡される。「KEИKO ИНOУЭ」これがKEIKO INOUE。
モスクワ予選はチャイコフスキーホールにも近く、市内中央にあるグリンカ中央音楽博物館内のホールで。左の写真はホール入口、右下が
ホール内の写真です。
ロシア、ポーランド、ベルギー、ハンガリー、カザフスタン、エストニアから10名の参加者、審査員はロシア2名、アメリカ、フィンランド、
そして日本からの5名。2日間にわたり、若いオルガニストの溌剌とした演奏を聴き、5名がカリニグラードでの本選へ選ばれました。
予選を通った参加者は本選の開催されるカリニングラードへ。鉄道でも行けるそうですが、みな
「シンプル・ヴィザ」で来ているので、一度他の国へ入国するとロシアへ入れない、つまり飛行機では行けるけれど、鉄道は不可。
直前にとる飛行機チケットは高額になるのだけど、仕方ない、と主催者から裏話を聞く。ヴィザの必要な国の事情でした。
コンクール開催期間中には、現地の新聞社、テレビ局の取材や記者会見もありました。左下の写真がその時の模様ですが、私の左がロシア語から英語への通訳のオルガさん。
右のお二人はロシア人の審査委員、一番右が今回のコンクールの主催者であるヴィエラ・タリヴェアディエフさん、ロシアを代表する
作曲家の一人である故タリヴェアディエフ夫人です。1時間以上にも及ぶ長い会見で、私にも質問が。。
日本のオルガン事情、コンサートオルガニストについてなど聞かれ、答えている私〜ロシア語が飛び交う中、何とか答えている私〜、
冷や汗ものの記者会見でした。
モスクワ滞在中、free time自由時間があり、街の中央と離れた所にあるホテルから、
地下鉄に乗り、赤の広場、クレムリンにも行ってみました。ロシア滞在は2回目、ザンクトペテルブルクには
行ったことがありますが、モスクワは初めて。ザンクトペテルブルク同様、地下鉄の駅の深いこと。そして私の
乗った2号線の一駅の長いこと。駅名は読めないし、聞き取れないし、、「4つ目」と覚えていたものの、
反対方向に4つ乗ってしまった私、慌てて逆戻り。タッチ方式の地下鉄の切符、どこまで乗っても同じ料金と言うのは
慣れない外国人には有難いのですが、どこの国も同じ、出口を間違えると、とんでもなく違うところに。
片道5車線、両車線で10車線もあるモスクワの広い幹線道路は、全て地下の通路を通って反対側へと渡るのですが、
余りに広い道幅で、反対側の様子も見えない。色々失敗しつつのモスクワ一人歩きでした。
そして期間中、ヴィエラさん、アメリカ、フィンランドからの審査員メンバー、エストニアのオルガニストでコンクールの受賞者と
グルジア(ジョージア、元ソビエト連邦共和国)のお料理とワインのお店で会食。お野菜や豆のお料理、厚揚げ風のパン、そして
水餃子にそっくりなお料理もあり、滅多にいただけないお味を堪能させていただきました。
最終日は、モスクワで最も美味しいレストランのひとつというお店へ。審査員5名、主催関係者、通訳の方、など
約15名でのディナー。フィンランド、サンクトペテルブルクからの審査員とはモスクワで別れ、アメリアからの
審査員と私は、その後、カリニングラードへ向かいました。
(10/13)ロシアでの写真アップしました。
|