オルガニスト楽屋話
第174話 新しい年に寄せて ---2014.1.9.
新しい年2014年、いかがお迎えでしょうか。
暮れには年に1度、我が家の練習楽器(中学生の時から使っている古い電子オルガンです・・)のペダルを外しての大掃除。ペダル鍵盤は
お賽銭箱状態ですから、埃ばかりでなく
鉛筆、ボールペン、消しゴムなど、いろいろ出てきます。今回は長年の間に劣化消耗したフェルトを自分で張替えることに、
私のペダル練習に耐え、ペタンコになったフェルトの交換です。
クリスマスや新年に届くカードやお年賀状で、知人、友人、お弟子さんからの近況を知ったり、またFacebookやメールのお陰で遠く離れた異国の友人達とも
リアルタイムにクリスマスや新年のメッセージを交わせるのは嬉しいものです。世界各地で活躍する友人達の近況に、励まされます。
秋頃からアドヴェント、クリスマスのために練習し弾いてきた楽譜を全部本棚に片付け、クリスマスも終わったな〜と。
安堵感と共に、新しい作品を勉強することに大きな意欲が湧き、年末年始は自宅で新曲の譜読みに没頭。
元旦からオルガンが鳴っていた我が家、とりわけ現代作品の譜読みは脳に良い刺激〜。
今年は7月にチェコでの音楽祭から演奏依頼がありました。
プラハから北西、地図で見るとドレスデンの方角へ60キロのところにあるLitomerice(リトムニェジツュ・・読むのが難しい・・)で開催される<リトムニェジツェ夏期音楽祭>
でソロリサイタル。歴史的な街、由緒あるカテドラルでの演奏、またチェコ、チェコの人々は大好きなので、2000年のプラハでの演奏会に続き、
再びチェコを訪ねることが出来る機会が与えられたことを幸いに思います。
今回のチェコの話もですが、2度と訪ねることはないだろう、と思ってた場所を再度訪ねることになったり、2度と会えないだろう、と思っていた
人に再会出来たり、、年のせいでしょうか、こうしたことが最近多いです。
スイス南西部ヴァレー州にある街、シオン。オルガン書に必ず挙げられている、「世界最古のオルガン」と言われている
オルガンのある街で、TBSのテレビ番組『世界めぐり愛』の撮影、私はレポーター役でこの地を訪ねました。26年前のこと。
そして2013年(昨年)の夏、再びシオンを訪ねることに。
オルガンは1435年に製作され(製作者は未詳)、当時のパイプ数本が残っていて、現存する演奏可能な世界最古のオルガンと言われています。
鳥の巣に似ていることから「つばめの巣」オルガンと呼ばれ、有名なオルガンです。
このオルガンはシオンの街から15分程、坂道を登った丘の高台にあるヴァレール教会内にあります。懐かしさにかられながら
再び急な坂道を登りました。住宅が増えたことと、そして当時は山登り感覚でカメラ部隊と撮影、映像とトークを録りながら、
息を切らして登った荒れていた道は綺麗に整えられていました。
教会内、当時はがらんとした何もないチャペルでしたが、フレスコ画が美しく補修され、チャペル内も綺麗に修復されていました。
オルガンまで上がる土埃いっぱいの古くて狭くて小さな階段は、照明がついた近代的な建築に様変わり。当時は
おじいさんオルガニストが案内し、オルガンの説明をしてくださいましたが、今回はふいごを動かしているこの女性でした。
再び演奏の機会!1段鍵盤の小さな楽器、以前、鍵盤は古く削られていましたが、鍵盤も新しく修復されていました。
チャペル、オルガン、街並、、新しく変わりましたが、変わらずオルガンは美しい響きで歌っていました。オルガンと再会!
人間には寿命がありますが、オルガンはこうして1400年代のものも大切に修復を重ねながら
生き続け、人々に喜びや癒しの音楽を奏で続けています。
新しい年も、喜びや希望に溢れるよう、音楽、オルガンを通して微力ながら私に
出来ることを少しずつ進めていきたいと思っています。多くの方に私らしいメッセージを届けていきたいと思っています。
音楽、演奏にその人の人柄、性格や生き方までが聞こえてくる、、と感じるこの頃、私自身も人として、
一人の人間として磨きをかけ、新しく始まる2014年を過ごしていきたいと思っています。 本年もよろしくお願い致します。
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