オルガニスト楽屋話

第179話  My Last Concert in 大森めぐみ教会礼拝堂 ---2014.6.16.

1週の間に3つのコンサート、果たしてこなせるかと心配した日々が何とか無事終わり、ほっと胸をなでおろしています。 3つの会場で、共演者もあり、それぞれ違ったプログラムを演奏することも大変ですが、3つの全く違う様式の「楽器」を 演奏することの大変さを痛感しました。タッチ、響きに合わせた演奏、一台一台違います。オルガンは持ち歩けない、 自分の楽器で演奏出来ない、、3つの会場でのリハーサル、本番が入り交じり 飛び回りましたが、それぞれの地でお聴きいただき、 嬉しい出会いもあり、ハードでしたが充実した1週間でした。

忙しい時は家の中でも走っていますし、色んな事・・練習、仕事、連絡、家事、雑用・・が同時進行〜、また日常の動作にも(オルガン演奏の ように)手で作業し、足では別なことを・・・信じられないようなことをやっている私です(笑)。 こんなに忙しくても泳ぎ、ジムへ行く時間も作る私。。というか、体のメンテナスのため、そしてこうした余裕がなくてはと思うのです、 口実かもしれませんが。。

昨日の6月14日、大田区主催の『花子とアン・オルガンコンサート』、梅雨の晴れ間に超満員の中、大森めぐみ教会で開催されました。 往復葉書で180名の応募でしたが、500名もの希望者があったそうで、落選された方、、本当にごめんなさい。 抽選の結果が郵送された日は、各方面から「当たった」「はずれた」・・と メールや電話が殺到。実は私も応募葉書を出したのですが「落選」でした、、。

まず最初に、めぐみ教会牧師の関川泰寛先生から、「村岡花子さんとめぐみ教会のゆかり」についてお話を伺い、 人生の苦難にあっても希望を失わず、文学への情熱を持ち続け、教会へかよわれ、クリスチャンとして祈りを捧げていた 村岡花子さんに思いを寄せ、途中、「赤毛のアン」と「アンのゆりかご」から勝田香子さんによる朗読を はさみ、私の演奏を聴いていただきました。

大田区長、副区長様はじめ、地元大田区の皆様、大田区以外からも多数、教会・オルガン関係者以外の多くの方々にも 礼拝堂にお集まりいただき、オルガンを聴いていただく素晴らしい機会にもなりました。

(追記:6月17日)コンサートの模様は、大田区の サイトにもアップされました。

折しも、会堂が建て替えられることになり、最後のコンサート。プログラムはバッハを中心にしたドイツバロックとフランス 古典。愛する楽器が一番美しく響く作品、大好きな曲を選びました。礼拝に、演奏会に、そして練習に、 恐らく私のこれまでの人生で一番長い時間弾かせていただいた楽器&礼拝堂でした。冬は寒く、夏は暑かったけれど、 オルガンとの対話は続きました。沢山の思い出のある礼拝堂。私の演奏活動を支えてくれたのも、もちろんこのオルガン。

まだ詳しいことは決まっていませんが、オルガンはどこかに移設され、 修復され、新しく建てられた礼拝堂に設置されます。今のオルガンとの別れにはなりませんが、 この美しく鳴る会堂での響きは最後になります。一音一音大切に、一層の思いを籠めて演奏させていただきました。 消え去っていく音、時間は過ぎていきました、、会堂いっぱいの方からの拍手、思わずオルガンを見上げた私、、それはオルガンに 受けている賞美の拍手であったと思います。 私の愛すべきこの響き、いつまでも・・・。オルガンと会堂は一体です、新会堂はさらに良い響きの会堂でありますよう願いを込めて・・。

先週の土曜日の6月7日は、青山学院大学ガウチャー礼拝堂で、母校の大同窓会のためのコンサート。同窓であり、 チェリストの山本裕ノ助さん(山本直純さんのご御子息であり、芸大で同期の友人で作曲家、山本純ノ助さんの弟さん)と 『チェロとオルガンの調べ』。裕ノ助さんの奏でる美しいチェロの音色に魅了されながら、 今回はコダーイ編曲のバッハ「3曲のコラール作品」、素敵な作品にも挑戦。
思い出いっぱいのキャンパスで同窓の友、先生方と守る礼拝、声を合わせて歌われる讃美歌伴奏は感慨深く、その後にコンサート。そして茶話会、夕方からは同期会のパーティ、さらにクラスでの 2次会へと、懐かしい友と、またお世話になった先生と再会し・・、朝早く会場に入り、宴は夜遅くまで続き、深夜いただいた 大きな花束を抱えてタクシーに乗り込み帰宅する私、、それはそれは楽しくまたハイテンションな一日でした。

そして6月12日はキングスウェル・ホールでのランチタイム・コンサート。東京は大雨。梅雨の時期だから 仕方ない、今日はあいにくの雨の中のコンサート、、と思いながら中央高速を走り、 笹子トンネルを抜けると曇り空。そして甲府に入ると山はくっきりと、そして青空も。

今回は「古典と現代」と題し、ドイツ・バロック音楽(ブルーンスとバッハ)の2曲の間に、現代作品(リゲティ)を演奏。 時代を超えてオルガン音楽が生き続けていること、またオルガンの持つ現代的な可能性をお聴きいただきました。 笛に風を送って音を奏でているオルガンは、風をコントロールすることなど、現代的な可能性を沢山秘めた楽器であり、 ストップノブ(アシスタントによる)の操作によって創り出される音響効果に、会場全体、驚いた様子。

この日演奏しました ブルーンスリゲティは、YouTubeにもアップしていただきました。 リゲティは現代ハンガリーを代表する作曲家ですが、フライブルク音大留学時代にお会いしたことがあります。 この「ハーモニー第1番」は、バロック・オルガンでこそ、大きな効果が得られる作品であり、今回、あえて キングスウェルのオルガンで演奏しました。 バロックと現代の響きの可能性をお聴き比べいただければと思います。 新しいカメラ・ワークも、この作品に合っていると気に入っています。

そしてNHKから、「花子とアン」の主題歌「にじいろ」を私のオルガン編曲で弾かせていただく許可をいただくことが出来、 めぐみ教会と、キングスウェルホール(山梨・・やはり「花子とアン」で盛り上がっている)ではアンコールに演奏させていただきました。

演奏会後、美味しいイタリアンをいただき、薔薇は終わりかけていましたが、紫陽花が美しく咲いたイングリッシュ・ガーデンを散策。 YouTubeの最初を飾る写真はその時の写真です。

心動かされることが沢山あり、超多忙な1週間でしたが、今、スイス行きの準備、荷造りに追われています。次回はスイス 旅行のご報告が出来ればと思っています。











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