オルガニスト楽屋話

第189話 青い海と緑豊かなアドリア海の国々を訪ねて ---2015.5.28.

5月19日、成田発ウィーン行きのオーストリア航空でウィーンへ。成田空港、荷物検査場、日本語で対応していた 検査員が私の番になると、突然英語で話しかけてきたので〜〜英語で回答、、一体何人と思われたのかな、私。

こんな出国で機内へ。Gute Reise ins Land des Traeume! 「夢の国へ良い旅を!」、、こんな素敵なキャッチで迎えられました。 コーヒーを頼んだら、コーヒーのメニューが渡され、なんと10種類のコーヒー、豆の種類ではなく、 コーヒーの入れ方のアレンジです。さすがオーストリアですね、“マリアテレジアコーヒー”を頼んだ私、 オレンジリキュールの入ったホットコーヒー、sehr gut!!美味しい!

しかしながら、今回の行き先はオーストリアではなく、空港で4時間待ちし、サラエボへ。 今回の旅、ボスニア・ヘルツェゴビナから始まり、モンテネグロ、クロアチア、スロヴェニア、、という アドリア海に面し、ユーゴスラビアから独立した国々を訪ねました。イタリア、オーストリア、ハンガリーに 囲まれた国々ですが、オルガンにはあまり縁がなく、これまで訪れる機会のなかったところでした。

ドイツ留学時代、ユーゴスラビアから留学していた友達を思い出します。学生寮で暖かい食事(スープ)を 作ってくれて招待してくれた、素朴で静かで優しい彼らは「山あり海あり美しい国だから、遊びに来ない!」と。 そう言われても、その頃は共産圏であり、留学中の身には時間があるわけもなく、20数年経ち、ようやく実現。 その後、ユーゴスラヴィアから独立、内戦もありどうしているかは知る由もなし。会うことはないし、 連絡先もわからないけれど、どうしているだろうと思いを馳せました。街は内紛の痕も残るものの、 とりわけ中世からの長い歴史のある古都は美しく修復され復元されています。

通過はマルカ、クーナ、ユーロ、国ごとに通過が代わり、頭クルクル。今回の旅の最中、旧ユーゴスラビア圏内で 通算5回国境を超えたのですが、EU加盟国でないので、国境越えの旅にパスポートの掲示を求められ、 時にはバスから降りて、出国、そして入国審査です。

さて最初に訪ねたボスニアの首都サラエボは、多様な民族色のある街、その次に訪れたモスタルはオスマントルコの 支配下であり、売っているものなどトルコにも似ていました。モスタルは16世紀に建造された美しいアーチ型の橋を中心に、 スターリモストを中心に広がる美しい石造りの街(写真左上)。グリーンのネレトヴァ川、水のある街。またこのあたり、 イスラム教とカトリック、つまりモスクと教会が共存していました。

そしてアドリア海沿岸へ。アドリア海の真珠と呼ばれるドヴォルニクはじめ、断崖絶壁に紺碧の岩壁、トルコブルーの 美しい海の景観をもつ古都が連なります。波がない静かな海なので、家や道路も海まで迫っていて、 ビーチも海沿いにたくさん点在。藻が繁殖していないので、海臭い匂いはしません。ホテルのプール、 アドリア海の水を温めた温水プールで、アドリア海の水を体感しましたが、海の水の塩分は高いそうです。

海を見ると、小さな島々が沢山アドリアの海に浮かんでいます。また雄大な山が折り重なり合い、 大きなぶどう畑、オリーブ畑も広がり、黄色い初夏の花、エニシダが満開に広がっていました。

海沿いのホテルにも宿泊、微妙に変わる海の色を眺め、聞こえてくるのは波の音、鳥の声、そしてジャスミンが良い香り。

お食事は元ベネチア共和国の影響下、イタリアにも近く、アドリア海沿岸で穫れる魚介が豊富。 手長エビのグリル(オリーブと香草焼き)、エビの量にびっくり。そして魚介のリゾット、 トマト味とチーズ味、どちらもとても美味しかったです。またハンガリーの影響を受けてのグラッシュなど 煮込み料理も多かったです。地中海性の気候を利用しオレンジなど果物も豊富、あとはコーヒー、薄いパイ、 プリンのデザートも良かったです。ワイン、クロアチアのワインも美味しく、お食事と共に堪能しました。

紺碧の海に浮かぶ中世の城砦都市、海洋貿易で昔栄えた街。城壁で囲まれた小さな旧市街の中に入ると、 網目のような小路にびっしりとお店や住居が並び、中心にはカテドラルがあります。 家の壁はピンク、白、黄色、とまちまちですが、オレンジ色で統一された屋根、紺碧のブルーに映え、 美しい景観をつくっています。エメラルドブルーの海を見ながら、城砦の上を一周したドブロヴニク、 人々の生活が伺える石畳の坂道の小路を歩いたコルチュラ島の散策も楽しかったです。

プリトヴィッチェ国立公園(写真右)、深い森の緑に映えるエメラルドグリーンの美しい湖、滝を見ながら、 新緑の森林の中の遊歩道を散策、マイナスイオンの溢れる森の中で美味しい空気でリフレッシュ。 いつか機会があったら、ここはまた訪ねたいところです。

その後、スロヴァキアに入ると、雪が残るユリアナアルプスが迫ってきました。 スイスやオーストリアから見るアルプスの裏側なのですね。アルプスを背景に、ブレッド湖。 10万年かけて出来たというポストイア鍾乳洞、ヨーロッパ最大の鍾乳洞ですが、自然が造り出す美は壮大でした。 ウィーンにも似たスロヴェニアの首都リュブリアーナ、次回機会があればゆっくり訪れたい街です。

美しいブルーの海、そしてアルプス、緑ゆたかな自然に恵まれたクロアチア、そして近隣の国々、 自然が造り出す芸術的な美に感激し、中世からの歴史的な街並も美しく素晴らしい旅となりました。 今回の旅は「クロアチアに行きたい!」、母の強い希望から突然決まった旅でしたが、遠い地へは最後の旅と言う母と ともに美しい景色を見て、良い思い出もつくることが出来ました。

昨日、スロヴァキアからウィーンへ入り帰途につきましたが、オーストリアに入ると高速道路をスイスイと車は飛ばして行く。 見慣れた普通のヨーロッパに戻ってみると、味のある国々だったなと、ヨーロッパの人々にも最近人気のリゾート地であり、 ドイツで最も売れている観光案愛書はクロアチアと聞きましたが、なるほど納得。オーストリアやイタリアの向こうにある 素晴らしい国を知ることが出来ました、出来ればまた訪れたい、まさに楽園、『夢の国』でした。

コトル(モンテネグロ)の聖トリプン大聖堂で、オルガンの音が聞こえてきました、弾いていたのはシスター、 小さなオルガンでした、決して卓越した演奏ではありませんでしたが(失礼、、)心に響きました。 モンテネグロ、遠い地でも同じようにオルガンの音は鳴っていました。

旅先での写真、写真の ページにアップしました(5月31日)。ご覧いただけましたら、幸いです。


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