オルガニスト楽屋話

第21話 ホームページ・・開設2周年 ---1998.9.22.

パソコンやインターネットなど、私には全く無縁のものと思っていました。 まるで、宇宙のどこか遠いところの話でも聞いていているかのようにでした。 ある日 <パソコンを買ったけれど、お手上げなんだ> という私のマネージャーの 言葉を聞いて、それならと、半信半疑で譲ってもらうことになりました。 私は車を走らせ、出かけました。 埃をかぶったパソコン、そしてそのために買った机も椅子も、出来れば 全部持って行って欲しいとのこと、車は満杯になりました。 <いやー、部屋が広くなったな> と喜ぶマネージャー、 果たして使い物になるのかと不安な私でした。

こんな思わぬ事がきっかけで、パソコンが突然身近なものになったのです。 それから2ヶ月後、友人の協力を得てホームページを開設し、まもなく2周年となります。 その間に起こった、沢山の嬉しいこと、楽しいことを紹介したいと思います。

オルガンなど全く知らなかった方が 私のページを訪れ、そして演奏会へ、 あるいはCDを聴いてくださり、そしてメールでお便り、感想を聞かせてくださるのです。 オルガンに興味を持ち、聴いてくださるファンが増えていくことをこうして感じることは、大きな喜びです。

それからファンの方々からいただくメール。演奏会が終り我が家へ戻ると、 私はまずパソコンの電源を入れ、メールを見る習慣になっています。すると もうすでにその日の演奏会の感想のメールが入っているではありませんか。 聴いてくださった方の声が、こんなに早く聞けること、インターネットならではです。 聴衆と演奏家の距離が、ぐーんと近くなりました。 また演奏会の前に”聞きに行きます””頑張って下さい”・・などの 応援のメッセージも、励みになります。 こうしたメールをいただくのが嬉しくて、プログラムやチラシのプロフィールには、 出来る限りURLを入れていただくことにしています。

そしてCDの感想・・”近くにオルガンがないのですが、 CDではじめてオルガンの音に接しました”こんなお便りも本当にありがたいものです。 確かに日本のオルガンの数は急増しているとはいえ、津々浦々で聞けるという わけではないのですから、ホームページを見て、私のCDを聞いて下さった 方がいらっしゃるというのを知ることは、本当に嬉しいこと。

それから嬉しい出会い、また再会もありました。

とっても素敵なドレスを作られる坂口薫さん との出会いもインターネットでした。私のコンサートに度々いらしてくださり、 メールをいただいたことが出会いの始まりでした。 その後、坂口さんの個展を拝見し、発表されたドレスの中にとても気に入った作品があり、 お願いして譲っていただき、演奏会で着させていただいています。 また新しくお願いしてつくっていただいているドレスの完成も、とても 楽しみ。クリスマスにはその心のこもった衣装で演奏します。

また”結婚式でオルガンを弾いていただきました”・・そうです、覚えて います・・私がまだ留学する前、弾かせていただいた方と、メールでの再会もありました。

驚く話、おかしい話といえば、知人と出会った瞬間、挨拶などかわす前に ”この間は大変だったのね”とか、”○○のオルガンってトラブル続きで 大変なのね。”と突然はじまるのです。”何で知っているの?”と言いたく なるのですが、考えてみれば、彼(彼女)は私の<楽屋話>を読んでいて、私の顔を 見るなり思い出すのでしょう、話しを始めるのです。 このように、突然、イタリア料理や本棚の話になったり、あわてることがあります。

パソコンに向かう私・・の取材もありました。撮影はオルガンの前ではなく、 パソコンの前で。何か不自然でありながらも気楽、いつになく楽しかった私です。 日立フローラの前でニコッ・・半分CMの記事にもなりました。

楽屋にお花が届けられました。”わー、メール友達からだわ!”・・この言葉に 私のマネージャーは<信じがたい>という表情。 でも私に新しい世界を与えてくれた伊藤さん(マネージャー)には感謝。

演奏活動の合間、こうして Messageを書く時間は気分転換にもなっています。

これまでホームページをお訪ねくださった方、メールをくださった方、 どうもありがとうございました。これからもお待ちしています。

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