オルガニスト楽屋話

第212話 寒い冬に ---2018.2.2.

今年は48年ぶりの寒さの冬とのことですが、毎日お寒いですね、まるで冷蔵庫の中に居るかのよう。 東京でも久しぶりに雪が降りました。夕刻から刻々と積もり始め、樹々にもしっかり積もり、 夜にはあたりは真っ白、樹木に囲まれた我が家はまるで雪国にいるかのよう。1日だけでしたが、綺麗な雪景色を眺め、雪国気分。 翌朝には写真のように。Facebook にアップしたら「どこの平原ですか?」と、、。我が家前の多摩川河川敷です(笑)。

春には満開の花で楽しませてくれる桜も雪に埋もれ。

そして今朝も雪がチラチラ。「入学試験でオルガンは使えません」、、と言われ、珍しくスケジュール・オフになってしまった今日は、 家でぬくぬくとオルガンを弾き、サイトを更新したり、資料を作ったり。家に籠る感覚も嬉しくて、寒い時はこんな日もあって良いかなと。

寒い季節、日頃の練習は大変です。 前の晩から冷え切った会堂、モーターの電源スイッチを入れオルガンを弾くと、パイプの中から冷気が吹き出てくる、寒い、寒い。 広い会堂では暖房も効かない、ダウンを着て、マフラー巻いて、3時間弾いても手が悴んでいる。暖房が(使え)ないところもあり、 いよいよ電気ヒーターを車に乗せ、持ち歩くように。オルガニストの苦労は大きいです。

寒かった冬といえば、ドイツ留学時代の教会での練習。フライブルクの街から郊外、シュバルツヴァルトの森に中へ10キロ、 Kirchhofenという村の教会へよく練習に行きました。バスに乗って約30分ですが、バス停降りたところにあるマーケットでパンとジュースを買い、 そこへ行くと、朝から夕方まで 1日弾いていました。夕方になり帰りです、1時間に1本くらいのバスですから、乗り遅れたら大変と早めにバス停へ。雪が積もった日、あまりの寒さに足が地面に置けず、踵立ちでバスを待っていたことを思い出します。 ドイツで買ったインナーに毛の付いたロングブーツでも凍えました。夕刻町に着くと温度計が-10度を指していて、頬が凍りつきそうなほど寒かったあの日。

さて、新年も始まり、1月には母校で、昨年9月に出演した役者さん達との朗読劇『クリスマスキャロル』が再演されました。今回は小学生とのコラボで。 懐かしい母校の小学校の礼拝堂へリハーサルに。時間少し前に着くと、礼拝が始まりました。一番後ろの席にそっと座ると、近くに座っていた男の子が近寄ってきて、 讃美歌を差し出してくれました。歌われた讃美歌はこども讃美歌「世界のこどもはお友達♪〜」、愛らしい歌詞にピュアな歌声、心打たれる私。 一緒に演奏するチェロの山本祐ノ介さんのお父様(山本直純さん)が作曲された讃美歌。そして 2つ目の讃美歌は繰り返しから2声のハーモニーで歌われ、驚いた私。

そして公演当日、朗読劇の後に、こどもたちと一緒に演奏した曲は「Somewhere in my Memory」。とっても可愛いクリスマスキャロル。 全員の歌にヴァイオリン・ソロ、歌のソロ、鉄筋などの楽器に聖歌隊が入る、、 透明な声に心洗われる思い。子供の編成に合わせて編曲したという、なんて素晴らしい環境。 そして短い時間で、英語の歌詞、しかも暗譜で歌い上げたこどもたち、見事でした。

私もその昔、聖歌隊に入り、先生の弾くオルガン伴奏で歌い、 器楽合奏部だった私は、放課後の部活の時間が毎週待ち遠しくとても楽しかった。全てが懐かしく、透明な歌声に癒された会であり、 また役者さんたちの妥協を許さない姿にも感動。子供たちの心に何かを伝えられたらいいね、という私たちの願いも伝わったようで、 好評のうちに終わり、今年の秋、さらなる再演も決まりました。

母に「素晴らしい学校に行かせてくれたのね」・・風なことを言うと(こんなことを言うのは初めてで)、 下を向き小さな微笑みを浮かべていた母。父は、「遠いいし、近所の学校で良いよ」、、と母と意見が違っていたことは 昔聞いていたし、確かに我が家はクラスで一番遠く通うのも大変だった、、でも今さらながら、両親に感謝。

川口リリアホール、キングスウェル・ホールの演奏会企画のラインアップも出揃いました。 私自身の演奏の機会のお話もいただき、日々、刻々と、何か楽しく(私にとって)いつも刺激のある話が舞い込んでくる、、 呑気にしていられないけれど、生かされている感がある、、2018年も早1か月が過ぎました。

こんなに寒い冬でも、時間の許す限り、毎日泳いでいます。ジムで鍛え、飛び跳ねている、、 体を暖かくし、免疫力もアップ。健康でなければ美しい音も奏でられない。オルガンとオルガンにまつわる様々な仕事と楽しく関わっていけますよう、 美しい春の到来を待ちつつ、寒い冬も乗り切ります。


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