オルガニスト楽屋話

第232話  新しい生活スタイル ---2020.7.15.

梅雨の季節を迎えています。コロナ感染症が拡大する中、大雨による土砂崩れ、河川の氾濫など大きな災害のニュースが流れ、心を痛めています。 この季節、確かに例年、雨の多い時期ですが、今年は記録的な大雨が随所で降り、様々な災害を引き起こしています。被害に遭われている方には回復を、 お祈りしています。また世界各地で、 これまでに経験がなかったような大きな災害も起こっています。地球の温暖化、そして地球が壊れてきている感がします。 自然破壊など、人類がもたらした行為の代償なのでしょうか。

コロナウイルスもついに世界規模で蔓延、多くの命が奪われていますし、第2波、新しいウィルスの心配も出て穏やかには過ごしていられません。 薬やワクチンが出来るまでは、感染は収まらないのかもしれません。世界中の学者の方々が鎬を削って研究しているとのこと、 開発と発売が待ち遠しいですが、1年〜2年、世界中の人々の手に行き渡るまでまだまだ時間がかかることでしょう。 人が動けば感染はやまない、しかしながら経済活動は動かさなくてはならない、矛盾の中、感染症との長い戦いになりそうです。

日本も鎖国状態が続いています。以前のように自由に世界を動けるようになるまでに、どの位かかるのでしょうか。 来日アーティストの公演もみなキャンセル。そして今後の企画も、海外からの演奏家の招聘は目途が立たない状況になっています。 飛行機に乗って自由に飛び回っていたことが嘘のよう。ヨーロッパは受け入れ可能となったようですが、日本へ帰国後の14日間の隔離、 この拘束を覚悟し来日した演奏家もいますが、実際に現実はまだまだ海外との行き来は不可能です。 私自身も来年5月にスイスでの演奏会の予定があり、一昨日、主催者から「大丈夫でしょうか」と連絡が入りました。受け入れ態勢や、 日本の水際対策も変わっていくのでしょうが、1年後にどうなっているのか、全くわからない状況の中、「行けない」という答えも出来ないし、 ドイツの知人音楽家などに相談した結果、感染症のために渡欧不可能になった場合は、その時点で代替え案を考えてもらえばよい、と。 「出演します」と返信した私。

4カ月ぶりにキングスウェル(山梨)でのランチタイム・コンサートが再開しました。ホールの椅子は移動可能なので、 ソーシャル・ディスタンスをとった位置に置き、充分なゆとりをもって、響きの良い空間で安心してお聴きいただきました。 入り口では検温、そして入場者のお名前と連絡先(これは個人情報ですので、責任もって取り扱います)をお書きいただき、 手の消毒をしていただき、万全の対策をしてお迎えしました。

とても美味しいイタリアン・レストランが隣接していますが、お席の間隔を充分とっての営業で、早くに予約で 満席でした。自家農園で栽培、また山梨の旬の素材を使ってのお料理、この日は、とうもろこしの冷製スープが格別でした。
ガーデンに出ますと薔薇が見事に成長し、花数も増え、5月の開花は見ることが出来ませんでしたが、2番咲きというのだそうです、 沢山の美しい薔薇を楽しむことが出来ました。久しぶりにホールにオルガンが響き、お客様に生音をお聴きいただけるのは、嬉しいことであり、 楽しんでいらっしゃるお客様の姿を見ることが出来、安堵しました。

余談ですが、我が家のバルコニーのオリーブ、そしてハーブも、今年はいつになく花を沢山咲かせています。友人、知人からも同様の話を聞き、 コロナの時期、植物界でも異変があるのではないか、と思ったりです。
写真は、キングスウェル・ガーデンの紫陽花。雨は止んだのですが、朝の雨に濡れ、しっとりといい感じでした。

オーケストラの演奏会も感染対策の工夫をしつつ、少しずつ始まってきました。コロナと共に 工夫をしつつの生活が、しばらく続いていくのでしょうか。国も都も、対策に右往左往、 働き方改革には賛成、Go To キャンペーンには賛同出来ず、ウイルスと共存しての生活をどのように過ごすかは、結局個人の判断に任されていることでしょうね。

様々なシチュエーションに応じられるよう、マスクの他に、フェイス・シールド、そしてマウス・シールドも用意しました。 ちなみに、あべのマスクは使っていただける施設に寄付させていただきました。 普段は手作りマスクを使っています。色柄はその日、着る洋服と行き場所に合わせて。海外の話ですが、スーツ、靴、そしてマスクまで 色を合わせ美しくコーディネートしとても素敵な女性首相の姿をテレビで見ました。
ただマスクやフェイス・シールドをしての演奏は難しいです。演奏する時に、息遣いがあるようで、マスクはバタバタしてしまいます。 フェイス・シールドは楽譜が歪んで見にくいし、演奏中にくもって楽譜が見えなくなったら困ります。共演者がすぐ横に居るときは別にして、 後ろ向きで離れた場所に居るので、マスクやシールドなしで演奏しています。

シェリー・メイ、私が子供の頃に着ていたお洋服のリメイクですが、今はマスクも着用。

人との接触を減らす数カ月が経ち、そろそろ我慢の限界にきているかと、外食もしたいし、友人知人とお喋りをしながら会食もしたいですよね。 無症状の感染者もいるという、この厄介なウイルス。自分を守ることは人を守ることにも。感染に対して、人それぞれ考え方も違いますが、 私個人的には、基本は自粛の時と変わらない生活をしています。制限された生活、余儀なく諦めたこと、色々ありますが、私以上に 苦難に逢っている方々がいるはず、世界がこの不安と恐怖、苦難から早く解放されますよう、元の生活に戻れます日が来ることを祈りつつ、日々過ごしています。






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