オルガニスト楽屋話

第28話 演奏会当日のハプニング ---1999.7.24.

演奏会の日こそ緊張しているはずなのに、とんでもない忘れ物などを したことがあります。 これはもう大分前のこと、ドイツから帰って間もない頃のことですが、 衣装を全部忘れたことがあります。その日のプログラムにはレーガー ”BACH”、モーツァルトなどの難曲が入っていて、そのことで頭が 一杯だったのでしょうか。会場に着くと衣装がないことに気が付きました。 ”どうしよう、洋服忘れちゃった!”との言葉に”信じられない”という 表情の先輩オルガニスト(主催者の一人でした)。それでも オルガンにはリュックポジティフ(背中にパイプがある・・ICUのチャペル でした)があるので、特別着替えなくてもいいわ・・と太っ腹の私でした。 結局、聴きに来る家族が後から持ってくることになり、 演奏会直前に衣装が到着。

オルガンを弾くのに欠かせない<オルガンシューズ>を、会場へ移動中の タクシーの中に忘れたこともありました。ある地方都市での演奏会、 リハーサルをして、一度ホテルへ戻り、演奏会直前に会場へ移動する時の出来事。 会場に着いた私は、真っ青!”靴をタクシーの中に忘れてしまったんですが・・” この言葉に関係者はびっくり。”靴ですか?”と私の足元を見るのです。 ”演奏する時に履くオルガンシューズなんです”。すでに開演直前の私は 今履いている靴で演奏しなければと覚悟を決め、でも脱げたらどうしよう、 靴が飛んでいってしまうかも・・。 開演直前、オルガンシューズが舞台袖で控えている私に届けられたのです。 信じられない出来事、ギリギリセーフでした。タクシーの無線で 探して下さったとのことですが、東京だったらありえませんね。 感謝でした。

夜の10時までのリハーサルを終え、郊外のホールから車をとばす私。 ふと気が付くとポケットにホールのオルガンの鍵が入っているではありませんか。 時刻はすでに0時近く、あわててホールの守衛さんに連絡をしたことも ありました。幸い、私の本番までオルガン使用は予定が無く、大ホールの オルガンの鍵はその間、我が家にありました。

あるコンサートで、楽屋の鍵をオルガンの演奏台の所に忘れてきてしまい、 ホール内はすでに次の演目に進んでいて、演奏会終了まで楽屋に入れなかった こともありました。

忘れ物ではないのですが、本番の日にかぎり高速道路で降りるべき出口を そのまま素通り。仕方なく次の出口で降り、高速道路の下をバックです。

東京芸術劇場でのコンサートの日、首都高速環状線の分岐点で左へ行くべきところ、 通いなれたすみだトリフォニー方向(つまり右へ)へハンドルをきってしまいました。 幸い日曜日ですいていたのですが、都内をぐるっとドライブし、ようやく 会場に到着。

先月は横浜での演奏会の日、さあ出発とガレージから車を出そうとすると、 どうもいつもと感触が違うのです。ゴツゴツ・・パンクです。 近くにいた3人の優しいお兄さん方・・ありがとうございました。

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