第31話 森の中で ---1999.11.3. 9月27日ザルツブルクに到着。久し振りにドイツ語圏に身を置き、 オルガンを聴き、いつも変わることなく時を告げる教会の鐘の音を聞くのは、何とも心地良いものです。 この季節になると町角で売られている、ほかほかの「マローニ」(くり)を食べ、留学時代を懐かしく思い出す私です。 今回はザルツブルク、そしてその東のアルプスに囲まれた美しい湖水地帯であるザルツカンマーグートへやってきました。
世界文化遺産にもなり、絵に描いたように美しい湖畔の町ハルシュタットで、
まだ暗いうちに目が覚めた私は、湖に面したホテルの部屋から感動的な日の出を見ました。
ドイツ人はwandern・・森歩きが大好き。留学時代のことですが、 軽い気持ちで誘いに乗り、何度も後悔するほど長い距離を 歩くはめになったことがあります。 東京では歩くことの嫌いな私ですが、この地に来ると、のんびり森の中を 散歩をしたいなどという気分になるのですから不思議です。
ハルシュタットからバスに乗り50分、山の中にあるゴーザウ湖
の入口に到着しました。細長い湖・・表ゴーザウ湖(Vorderer Gosausee)の先端で、
ここからは車両の乗り入れ出来ず、徒歩で散策することになります。
湖の背景にはダッハシュタインの氷河の山がそびえ、
その向こうから差し込む光の美しさに感動しました。
まずは表ゴーザウ湖の湖畔を半周、その後森の中へと入っていきました。
静けさ、そして木々のひんやりとした森の空気は気持ちが良いのですが、
だんだん小道は坂になり、予想以上にきついコースとなっていきました。
"Grusse Gott!" (この地方の方言で「こんにちは」)と
通りすがる人といつのまにか挨拶をかわしている私に苦笑い。
約2時間歩き、ようやく裏ゴーザウ湖が現れた時は感激でした。
小さな青色の湖で、人の手が何も加わっていない自然の中に、
ひっそりとたたずんでいました。
これまで見たこともないような、美しく神秘的な湖でした。
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