オルガニスト楽屋話

第91話  2007年もありがとう! ---2007.12.30.

クリスマスから年末にかけて、今年もオルガンからオルガンへと飛び回りました。本当にMaxでした。忙しいとはこういうことなのかと・・・ 家の中でも走っていましたから。時間的にも体力的にも限界でした。
12月8日、大森めぐみ教会でクラヴィコードの佐伯恵美さんとのジョイント・コンサートから始まりました。 滅多に聴く機会のないクラヴィコード、音量は小さいのですが、なんて繊細で表情豊かな音の出る楽器なのでしょう。 2つの鍵盤楽器の聴き比べ、そして アンコールには世界初(?)の試みでオルガンとクラヴィコードとのデュエット、私はこの曲だけ会堂前方にあるポジティフ・オルガンを 弾いたのですが、なかなかの好評でした。


その後13日はカザルスホールでのチャリティ・コンサート。左の写真はリハーサル風景です。 北ドイツ・バロック様式のアーレント・オルガンは、日本のコンサートホールのオルガン の中でも特別な存在でしょう。笛に風を送る・・鍵盤を走る指、その指で笛を鳴らしているという感触がわかるのです。 その心地よいこと!思いのままの表現ができ、こんなに自然な息遣いで歌ってくれる楽器は他にはないと思います。 オルガンの呼吸とぴったり合うと、さらに深い世界へと 引き込まれていきます。“文化財”的な存在ですね。人生“最後”に弾きたい楽器はと問われたら、 このアーレントと答えるかもしれません。


カザルスホールでの演奏会の翌日は、中央高速を飛ばし山梨県の白根へ。アルプス、 富士山も望め、ドライブ気分、約2時間半で到着。車を降りると空気はきゅーんと冷たい、でも美味しい〜。桃源文化会館にある オーベルタンのオルガンはフレンチ・バロック様式。白根の空気にも似て、透明でピュアな音色。 静かな街で美しいオルガンの音色に没頭しました。

右の写真でもご覧いただけるように、現代的な演奏補助装置は一切なく、 昔ながらの全てメカニックなオルガン。鍵盤は短く、また足鍵盤は平行フラット型。 リハーサルで弾いてるうちに、指使いや足使いも弾きやすいように自然に変わっていくこともしばしば。 アシスタントなしでの演奏、ストップを動かすことも全て自分で、、、忙しかったです〜。

ステージにはクリスマスコンサートにふさわしくツリーが飾られ、クリスマス気分を味合わせていただきました。 演奏会終了後、車を飛ばし帰路へ、高速道路に乗ってから忘れ物をしたことに気づき、引き返すという あわて者で、、、帰宅は深夜になりました。


1日あいて、翌日18日は川口リリアホールで私プロデュースのクリスマス・コンサート。 透明感のある美しいソプラノの西由起子さん、華麗なトランペットを聴かせてくれた岡崎耕二さん、 華やかで繊細なハープを奏でてくださった水野なほみさんと、写真は公演直後のお疲れ様〜ショットです。 みなさまに盛り上げていただきました。 ソロあり伴奏あり、デュオあり、アンサンブルありで、 当日、早めにホールに入ったつもりが、照明、立ち位置、舞台の転換、出入りのこと、、、など 演奏のリハーサル以外にもいろいろ打ち合わせることがありバタバタ。楽屋の椅子に落ち着いたのは開場の時間の 5分前。普段「弾く」ことだけ、あとはホールの方にお任せ状態でしたが、こうして演奏会を「つくる」立場にたつと 本当にいろいろあるのですね。演奏、企画、トーク、ひとり3役はホント大変でしたが、「創る」喜びも 体験させていただきました。 「良い音楽を聴いていただきたい」「皆様に楽しんでいただけるものを」という気持ちも沸々と、 これからもリリアホールでの企画に力を入れていきたいです!


20日は、サントリーホールで翌日の日フィル「第九公演」での演奏のリハーサル。誰もいない2000人収容のホールに私 一人。ステージの上には移動式のコンソールが用意されていて、そこでバランスなどチェックしながらレジストレーションできるのは 便利です。何度も弾いている「トッカータとフーガ」もレジストレーションはいつも同じという訳ではありません。 今回もこれが自分の中で最も良いと思うレジストレーション!に決定。自分の中でも毎回いろいろ変化、思うことがあるのです。 だから演奏するのも、聴くのも楽しみがあるのでしょう。


右の写真がサントリーホールのリーガー・オルガンのメイン・コンソールです。演奏補助装置も沢山あり、 白根のオルガンと比べると現代的とおわかりになると思います。このように一台一台、 特性があると同時に、全然違う楽器です。弾き心地も違うし、演奏も変えていかなくてはなりません。


翌日は完売、満席のお客様の前で演奏。演奏会後は、聴きにいらしてくださった友人達と美味しいお食事を 囲み団欒の時、、アークヒルズ最上階からの夜景です。Tokyo〜〜。
こんなに毎日バタバタで何か起こらなければと思っていた矢先、 やはり起こってしまいました、忘れ物!実はこの日、衣装を家に忘れてしまったのです。演奏はいつもパンツスタイル。上着は持ってきたのですが、 パンツがない〜!!!楽屋で気づき、大慌て!言い訳をするようですが、普段は車なのでハンガーのまま 持って入ります。ところがこの日は会食があるので衣装はバックに入れ持って行くことに。 しわになるから最後にバックに入れようと思っていて、忘れてしまったのです〜。取りに帰る時間はなし! しかし幸いにも黒いパンツを履いてきたので、それで演奏することに。同じアルマーニの黒いパンツですが、 スタイルは全然違うローライズ。 背を向けて演奏する私は、背中が出てしまう〜と心配しましたが、あとで聞いてみるとわからなかったそうです、やれやれ〜


24日のクリスマス・イヴは私の教会のキャンドル・サービスで奏楽。子供から大人まで会堂はいっぱいに。 クリスマスは感謝する日、神に感謝!というメッセージを聞き、高らかに皆で声をあわせ賛美しました。 クリスマスはプレゼントもですが、希望、喜び、夢を分かち合える日ですね。


そして28日は再びサントリーホール。この日は長野県南牧中学校40名の皆様が団体でコンサートへ。 村をあげてのイヴェントだそうで、開演前にプレイヴェント「オルガンたんけん隊」が企画され、 好奇心いっぱいでオルガンの近くに集まってきてくださいました。 初めて見る、初めて聴くオルガンを前に、生徒さんのキラキラした目が印象的でした。

しかしこのあたり段々と疲れも出てきて、途中で立ち寄った赤坂のスタバで、気づいたら眠っていました〜。 時計を見ると、20分の時間が経過、、、足元には読んでいたものが散乱。信じられないような出来事。


翌日は横浜みなとみらいホール。フィスク・オルガンの演奏台です。またまた違ったオルガンで演奏。 鍵盤、ストップの配置、補助装置の位置、みな違います。明るい音のするオルガンです。 オルガンを楽しみ、そして演奏を楽しみました。


最後の公演は東京芸術劇場、写真は演奏直前、楽屋でのショット。笑顔ですが、演奏後はどっと疲れが〜。 手にも痛みが走りました。でもとにかく最終公演まで無事終了!途中ハプニングはあったものの、ぎっしり手帳に書かれたスケジュール、 最後まで風邪もひかず元気に。これも日頃のジムでのトレーニングと水泳のお陰かなと。どんなに忙しくても 毎日泳いでいましたから。
そして今日30日は教会での歳晩礼拝で奏楽。今年の弾き納めは教会でした。神様に感謝。 振り返ってみると約3週間の間に、1万人の前で弾いたことに。たくさんのオルガンを弾き、 たくさんの方に聴いていただけた年の瀬でした。
2007年もありがとう!皆様方に支えられての1年でした、ありがとうございます。
新しい年も希望に満ちた明るい年にしたいものです。皆様にも 良いお年をお祈りします。また応援していただければ幸いです。


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