オルガニスト楽屋話

第93話  夢を追って・・・芸大合格! ---2008.3.13.

今日は懐かしい芸大のキャンパスへ。胸をドキドキさせながら、足早に。 初歩から教え、芸大という目標に向かい一緒に走ってきたお弟子さんが 受験していて、今日が3次、つまり最後の発表の日でした。もちろん合格を願うばかり。

彼女との出会いは一昨年6月。小学校から大学まで習っていたピアノの恩師鈴木敬子先生から、 聖ドミニコ学園の高校2年生を紹介されました。オルガン、そしてバッハに魅力を感じ勉強を始めたいと。 お会いお話してみると、キラキラ目を輝かせ、大きな夢を持った長い髪の可愛らしいお嬢さま。 はっきりした目標を持ち、成績は学年トップだと。 学内で開かれた私の演奏会を聴いたのがきっかけになったというのも嬉しいこと。彼女との出会いがあり、 レッスンが始まりました。オルガンシューズを買うところから、本当に一からのスタートでした。 聖ドミニコ学園というのは世田谷の岡本にあり、私の実家のすぐ近く。私はそこの幼稚園の出身です。 レッスンは幼稚園横の聖堂で、、、毎週懐かしさもいっぱいで足を運びました。

週に1回のレッスンはいつも予定の時間を越え、下校時間ぎりぎりまでに。たくさん練習、準備し、 お教えしたことは必ず翌週には出来ていました。ぐんぐんと吸収し、上達し、レッスンの成果を毎週聴くことができ、 私にとってもとても楽しい時間でした。やる気と意欲と能力、そして努力。それからきれいなオルガンで 練習できる環境、熱心なご両親の愛情溢れるバックアップ、全てが揃ったのも彼女の成長を速めた理由でしょう。 途中、不慣れな姿勢でのペダル練習から足を痛めるという思わぬ出来事もありましたが、それも克服し短期間で大きく成長。 若いエネルギーをぶつけ、共に夢を追いかけて走った1年半でした。同級生の進路は決まる中、最後まで続く大変で長い試験。 さぞかし精神的にきついだろうと心配の声をかけると、こんなに毎日オルガンが弾け幸せで楽しい時間はないと言うのです。 確かに私もそうだったかもしれない、、と過去の自分を思い出してみたり。

課題曲は難しい曲ばかりでしたがそれも仕上がり、できる限りのことは尽くしたのだから自信を持ってね!と最後のレッスン。 自分が受験するかのように、もしかしたらそれ以上に力を入れてきた私は、これから来る大変な試練を乗り越えられますように、、 と祈りながら学校を後にしました。

「あった〜!」と掲示板の前で大声をあげ涙ぐむ彼女を見て、私も涙が、、。合格でした。6名受験し2名合格。 よくやった、おめでとう!心の底から喜びが込み上げてきました。

演奏活動はもちろんですが、教えることも私の中でとても大切なこと。ソロの演奏活動は一人で過ごす時間が大半、 孤独な作業です。でも教えることはオルガンと自分との間に“人”との交わりがあります。オルガニストを目指す学生達、 大学で副科と呼ばれるいわゆる副専攻の学生達、趣味で楽しまれる方々、正確に数えたことはありませんが100名を超える方々に これまでお教えしました。演奏活動とはまた違う楽しみと喜びがそこにはあるのです。ワンクッションあるからでしょうか、 自分自身の成功よりも喜びは大きいです。

こんな喜びの日が迎えられるとは。とにかく嬉しい!!意欲があれば限界はない!優美子さん、おめでとう!! そしてこんな大きな喜びをありがとう! 芸大合格はスタート地点、今そのスタート地点に立ったわけです、これからです、頑張ってください!私の育てたお弟子さん方、 ずっとこれからも共に夢を追いまた応援していきたいと思っています。


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