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オルガニスト楽屋話

第256話  ヴィリニュスでのコンクール ---2023.9.27.

今回はリトアニアの首都ヴィリニュスで開催される、国際コンクールの審査員として渡欧し、一昨日帰国しました。 リトアニアは北ヨーロッパに位置し、バルト3国の中の一国です。

コンクール最終日、最終結果の発表が午後9時半から、授賞式はリトアニア国立フィルハーモニーで開催され、その後、祝宴。入賞者、参加者、 審査員、また他国から音楽関係者、メディアなどが一同に集まり、シャンパン、ワイン、オードブルのおもてなし、華やかな祝宴でした。 そして10日間にわたって開催されたコンクールも閉会となり、審査員メンバー、また主催者、お世話になった関係スタッフと別れのハグ、会場を出たのが、深夜0時半。

翌朝の飛行機は、ヴィリニュス空港、午前6時半発。「4:45にお迎えが来ますから」と言われ、4時に目覚ましをかけ、眠らない方が良いかとも思いつつ横になる。3時間の睡眠で、帰途に。 ヴィリニュス空港に着くと、「搭乗機は2時間半の遅延」だという、、、待つこと3時間。コペンハーゲン空港での待ち時間が5時間あったので、乗継は間に合ったものの、 コペンハーゲンから羽田へ向かう12時間半は、ずっと眠り通し、 目が覚めたら日本の上空、羽田まであと僅かの所でした。

往復ともに、主催者が手配してくださったスカンジナビア航空は新型の飛行機で快適でした。とは言え、行きは、家を出てから22時間。他の審査員は、 パリ、ウィーン、ワルシャワ、デュッセルドルフ、からですから、私にすれば欧州内は国内線感覚、私だけはるか遠くからの参加でした。

翌朝から、第1次審査(18名)、第2次審査(8名)、フィナーレ(6名)で3名が入賞。会場は2つの教会とホールで。街の中心、メインストリートに建つホテルからは、 どの会場へも歩いて5分以内、とても便利でした。(上の写真は、審査員メンバーとフィナーレ出場者)

連日、世界10ヶ国から集まった若きオルガニストの熱演を聴き、ハイレベルなコンクールでした。結果、1位はチェコ、2位もチェコ、3位はドイツ2名、、差異をつけがたい結果となりました。 ウクライナ人の参加者、準備は大変だったと思いますが、立派な演奏を披露してくれました。1次予選は通過しましたが、残念ながら2次まででした。

審査員メンバーとは、滞在10日間を共に過ごし、オルガン情報、母国の最新ニュース、オルガン音楽のこと、オルガンにまつわる話題は尽きず、 また同じ仕事をし、目指すもの、ポリシーが同じせいですね、会った瞬間から「仲間」感覚です。審査、休憩時間、食事、を共にし、 滅多に経験出来ない貴重な時間を過ごすことが出来ました。

リトアニアはカトリックですが、ヴィリニュスには様々な宗教、沢山の教会が連立しています。世界遺産にも登録されていますが、 特に旧市街の街並みはチャーミングです。素敵なブティック、お洒落なレストラン、カフェが並んでいます。

朝晩の気温差は大きく、朝は10度、日本遠出国した時は35度にもなる猛暑でしたから、最初は体が慣れず凍えました。昼間は25度にも。 まだ夏の装いの人も。 そして夏の余韻、皆、テラスで食事やお茶を楽しんでいました。

ネット環境も素晴らしく、主催者のお一人に教えていただいたのですが、SIMカードがマーケットや売店で売っていて、しかも1週間3ユーロと安価。お陰で、ホール、教会、路上でもネットにアクセスでき、 LINEを使えば、日本の家族とも無料でビデオ通話も出来ました。もちろんレストラン、駅、電車やバスなどの中でもWi-Fiにアクセス出来ます。

日本はLINEが普及していますが、ヨーロッパではWhatsApp、事務局から連絡などの情報が随時流れ、また審査員同士も連絡を取っていました(帰国した今も)。

コンサートチケット、電車のチケットはQRコードをかざしてチェックイン、飛行機もですが、紙は不要になってきています。

コンクール参加者そして審査員が、国境を越えオルガンで繋がり、私もその素晴らしい催しに交わらせていただきましたことに、感謝です。 「今」しか出来ない、「今」の私だから出来た、ことだと思っています。 まだ瞼を閉じるとあちらの景色、英語、ドイツ語、フランス語、 ポーランド語、リトアニア語での会話が耳に残っています。「オルガン」を通して大きなものを与えていただきました。 一つに集まった私たちですが、世界中それぞれの母国に帰り、また勉学や仕事に戻るのでしょう。

私も帰ってきましたら、演奏会、3週連続の教会奏楽、2つの催しでの演奏と、今月は忙しく、 少し時間がかかりますが、写真もアップしたいと思っていますので、またお訪ねいただければ幸いです。

追記:本日、写真の ページにアップしました。フリーの時間に訪れたカウナス、またリトアニアのお食事のこと、次のメッセージに書かせていただきたいと思っています。






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