新しい年によせて

1997年 1月


1997年 - - 日本のオルガン界は、華やかに活気づいた明るい年となるのではないかと、 楽しみにしているところです。というのも日本各地に、少なくとも5つのコンサートオルガンが新しく誕生するからです。 日本のパイプオルガンの数はここ数年急増し、800台を越えたと言われていますが、 その大半は教会やミッションスクールなど、一般の人には解放されていない所に設置されています。

キリスト教の地盤のない日本で、オルガンが楽器として発展し親しまれるようになる可能性は、 多くの人に解放され聴いていただけるコンサートホールのオルガンにあると考える私にとって、 また実際にコンサートオルガンを弾くことが好きな私にとって、大変嬉しいことです。 自分の楽器を持ち歩いて演奏することの出来ない我々オルガニストにとって、 新しい楽器の完成はとっても楽しみなこと、ましてや完成前から演奏の依頼が次々と入ってきている今、 それぞれのオルガンの完成に期待し、心待ちにしているところです。


● まず5月に宮城県 白石市の音楽ホール(東北新幹線、白石蔵王駅前)に、日本にはこれまでなかった 本格的なロマンティック・シンフォニック・オルガン、115ストップという最大規模の楽器が誕生します。 オルガン設計建造家の大林徳吾郎さんの作品で、この楽器ではこれまで聴くことのできなかったような多彩な音色や 新しいレパートリーが演奏できることになると思います。 近隣の方だけでなく、東京あるいは東北各地からも聴きに行く価値があります。 このオルガンまた白石市のホールに関しては、「パイプオルガンと音楽」 に詳しい情報が掲載されていますので、 ご覧ください。(私の リンクのページ からも行けます。)

6月27日、ホールのオープニングコンサートの第1夜には私も出演 させていただく予定です。


秋には東京に3つのコンサートオルガンが、完成することになります。

● <すみだトリフォニーホール>は、錦糸町の駅前に10月に完成します。 新日本フィルハーモニー交響楽団がフランチャイズするホールとなり、ここには ドイツ・ドレスデン Jehmlich の66ストップのオルガンが設置されます。 ベルリンの Schauspielhaus (ここにもJehmlichのオルガンが入っています) とホール提携もするとのことです。 オルガンのお披露目演奏会には、SchauspirlhausのオルガニストのJoachim Daritz、 そして私も出演 させていただくことに決まりました。

● <東京オペラシティ>は初台に、オルガンはKuhn社。 12月23日(祝)には、この新しいオルガンで、私のクリスマスコンサートが決まっています。 98年2月には、私の恩師 Z. Szathmary のコンサートも予定されています。

● <カザルスホール>には、 Ahrend の北ドイツバロック様式 41ストップのオルガンが入ります。 演奏可能な曲目は限定されますが、個性的な楽器が誕生することと思われます。 10月にドイツの若手オルガニスト Zerer のお披露目演奏会があるそうです。


● そして<札幌コンサートホール - - KITARA>には、フランス Kern社の 68ストップのオルガン。 9月にはオーケストラと、12月はソロコンサートの予定があります。 (詳しい私のコンサート情報については、スケジュールのページをご覧ください)


井上圭子へのメールは、mail@keiko-i.com へどうぞ。
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